GGGI

2023年男女格差指数 (GGGI)

125位/146か国 と過去最低
2023年6月20日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、ジェンダーギャップ指数(GGGI:The Global Gender Gap Index)で日本の男女格差は146か国中125位と過去最低となった。指数が改善した分野はなく、東アジア・太平洋地域では最下位のままで、非常に深刻な状況が続く。




■世界全体では…
右上に、今回のGGGI上位10か国を示した。上位9か国のギャップ指数は0.8以上で、男女格差が80%以上達成されていることを示している。14年間続けて1位のアイスランドは達成率91.2%である。また上位5か国中3か国は北欧の国である。そして今回新たに上位10か国入りしたのは、リトアニアとベルギーで、前回報告から格差指数をそれぞれ0.001、0.003上げた。世界全体で男女間格差の解消に要する歳月予測について、COVID-19感染症拡大の影響を受けた一昨年と昨年は、それぞれ135年、132年であった。今回は、このままの進捗状況ではその解消に131年かかると指摘し、前回報告から大きな改善は見られなかった。

■政治分野の指数が総合指数を押し上げる
今回も、各分野の順位より指数に注目すべきであろう。政治分野は、順位は1つ上がったように見えるが、指数は0.004も後退し、100点満点のテストで例えれば6点にも届かなくなってしまった。経済分野は、今回も順位・指数ともに後退した。教育分野は、今回は高等教育のデータが含まれておりやはり男女格差があることが露呈した。健康分野は、順位は上がったが、指数は前回報告と同じで改善とは言えない。
指数が改善した他国と比較すると、例えば世界1位のアイスランドは政治分野のみ指数が0.027も改善しており総合指数を0.004押し上げた。今回上位10か国入りしたリトアニアも、政治分野の指数が0.016改善し、総合指数が0.001上がり、男女格差80%以上達成国に仲間入りした。

■分野別の前年比較では…

【政治分野】
政治分野トータルの世界平均指数は0.220⇒0.221と改善しているが、日本は0.061⇒0.057と後退している。日本はワースト9で日本より下位の国は、フィジー、オマーン、ミャンマー、ナイジェリア、イラン、レバノン、バヌアツ、アフガニスタンである。世界の動向を見ると、2013年に0.187だった女性議員(下院)比率は、2022年には0.229にまで改善した。なかでも過去1年に0.232も改善し、0.387となったマルタは候補者クオータ制の法制化による成果を顕在化した。日本が指数の改善を図るには、(1)女性が総理大臣になるか、(2)より多くの女性閣僚を任命するか、(3)クオータ制を法制化するしかない。 なお、2022年には9か国で女性元首が誕生した。2022年12月31日時点で世界の人口の約27.9%にあたる21.2億人が女性元首の国に居住しており、過去最高を記録した。

【経済分野】
Linkedinのデータによると、報酬が高いSTEM(理工系)分野で働く女性割合は29.2%で、STEM分野以外の49.3%に比べて男女差が大きい。オンライン学習への機会やアクセスにも格差があり、技術リテラシー、AIとビックデータなど今後成長が見込まれるスキルを習得するコースへの受講率が男性に比べてまだ低いことが示されている。習熟度が高いスキルほど受講率の男女差は広がる一方、女性は男性よりも短期間で習得する傾向が見られた。民間企業におけるジェンダー平等に向けたDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)への取り組みも活発化している。日本では、所得格差は0.566⇒0.577と前年より0.011縮小しているものの、同一労働での賃金格差は0.642⇒0.621と0.021拡大している。賃金格差の影響は数年を経過して反映されるので、気をゆるせない。昭和の年金制度の温存が男女別賃金格差の一因と言われており、第3号被保険者制度の早期改正を期待したい。

【教育分野】
今回は高等教育のデータが反映されたことで、教育分野トータルの指数が1.000⇒0.997、順位も1位⇒47位へ下がった。また、OECDの報告では日本のSTEM分野に進学する女子大学生比率はOECD諸国において最下位であり、日本の高等教育における女性進学率の低さが、将来、経済分野に悪影響を与えることが懸念されている。

【健康分野】
2つの要素のうち、出生時性比率は格差なく、もう一つの健康寿命は1.039で前回報告と同じであった。(この項目だけが、女性が男性より高く1.0以上である。)ただし、女性の健康寿命については、予防的見地から見直す必要があるとしている。指数には反映されていないが、参考データの「性と生殖に関する健康と権利」や性暴力対策も課題である。



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2022年男女格差指数 (GGGI)

116位/146か国 と最低クラス
特に政治分野は139位で 前年ワースト10⇒ワースト8 とさらに低下

2022年7月13日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index= GGGI)で日本の男女格差は146か国中116位と相変わらず下位レベルのままとなった。教育・健康の2分野で指数・順位が改善したが、政治・経済分野の男女格差は、WEFも特筆しているように非常に深刻であり、この格差の改善には異次元のスピードでの取り組みが必須である。


経済分野は指数・順位共に下がり、政治分野は146カ国でみるとさらに順位を下げワースト8となった。また総合の指数は、東アジア・太平洋地域で最下位となった。
[参考資料] Global Gender Gap Report 2022 (INSITE REPORT -WEF-)



■世界全体では…
上右の表が、今回のGGGI上位10か国である。ギャップ指数は、すべて0.8以上で、13年間続けて1位はアイスランドである。新型コロナウィルス感染拡大に対して、迅速で、国民に寄り添う的確な呼びかけにより、そのリーダーシップが注目された女性元首の国々5か国(青の*印)が含まれている。
世界全体で、男女間格差の解消に要する歳月予測について、昨年は COVID-19感染症拡大により、世界的に女性のほうが失業などより大きな影響を受けたために、ジェンダーギャップ解消には135年かかり、その前年の99.5年から一世代分を喪失してしまったとしたが、今回も、このままの進捗状況では、その解消に132年かかると指摘し、各国に取組みの加速を求めている。前年より1%以上改善した国は、わずかに30ヶ国に過ぎなかったのである。

■国際社会から取り残されたままの日本・・・
今回は、各分野の順位より指数に注目すべきであろう。教育分野は1位(前年92位)と改善しているように見えるが、これまでその順位を下げていた高等教育期間における在籍者の男女比率のデータが加味されていない。
政治分野は139位(前年147位)と順位は上がってみえるが、男女格差指数は全く同じで、ワースト8である。同じく問題の経済分野121位(前年117位)、他の国が、男女格差の解消について効果的な取り組みを進めて結果を出しているのに対し、日本がコロナ禍の女性たちの課題などに深刻さを欠いたままだったからであろう。



■分野別の前年比較では…

【政治分野】
世界平均を前年と比較すると、女性議員比率は0.312⇒0.229、女性閣僚比率は0.235⇒0.161と低下している。日本は2021年衆議院選挙で女性議員数が減り、女性議員比率が下がったものの、順位が上がったのは、対象国が前年より減っているからに過ぎない。ワースト8で、日本より下位の国は、オマーン、ナイジェリア、イラン、カタール、ブルネイ、クウェート、バヌアツである。この数字に反映される女性議員(下院)比率の低下は次回の衆議院選挙予定の2024年秋まで続くことになり、すでにクオータ制導入などで比率を上げている国々に抜かれている状況に対抗して、指数の改善を図るには、女性が総理大臣になるか、より多くの女性閣僚を任命するしかない。

【経済分野】
労働力比率でみると、世界平均は0.655⇒0.629と悪化しており、COVID-19感染拡大は女性により大きな影響をもたらしている。賃金格差も日本は0.651⇒0.642と男女格差が拡大している。今回の時点で所得格差は前年より縮小しているが、賃金格差の影響は数年を経過して反映されるので、気をゆるせない。昭和の時代のままの税制・年金制度を続けると、この指数の継続的低迷が予感される。

【教育分野】
指数が1.0、順位も1位で、2021年度から改善したように見えるが、これは日本の高等教育における男女格差のデータが今年は反映されていないからと判断できる。したがって、この結果を喜んで受け入れるわけにはいかない。(WEFは教育分野について、UNESCOのデータを元に分析している)
なお、OECDの報告では日本のSTEM分野に進学する女子大学生比率はOECD諸国において最下位であり、日本の高等教育における男女格差が、将来、経済分野に悪影響を与えることが懸念されている。

【健康分野】
2つの要素のうち、出生時性比率は格差なく、もう一つの健康寿命は、日本は指数で1.040⇒1.039と近づき、順位も改善した。(この項目だけが、女性が男性より高く1.0以上である。)ただし、女性の健康寿命の質については、まだまだ、検討の余地がある。また、「性と生殖に関する健康と権利」や性暴力対策も課題である。



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2021年男女格差指数 (GGGI)

男女格差解消を目指して- Part7
2021年男女格差指数(GGGI)120位/156か国と最低クラス
特に、政治分野は147位と連続ワースト10

2021年3月30日に世界経済フォーラムが発表した、ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index= GGGI)で日本の男女格差は120位/156か国と相変わらず下位クラスのままとなった。
全ての分野で順位を下げたにもかかわらず、総合で120位に踏みとどまったのは、いわゆるギャップ指数の若干数字が上がったからに過ぎず、日本の男女格差がまだ深刻であることは明らかである。


■世界全体では…
右の表が、今回のGGGI上位10か国である。ギャップ指数(男女平等であれば1.000)は、ほぼ0.8以上であり、12年間続けて1位はアイスランドである。昨年のCOVID-19パンデミックへの迅速かつ的確な対応策を実施する姿勢や、国民への呼びかける言葉などにおいて注目されたのが、女性元首たちのリーダーシップであった。("青*"印は女性元首の国)
世界全体で、男女間格差の解消に要する歳月の予測は、昨年は99.5年だったが、昨年1月からのCOVID-19感染症拡大が、女性により大きな影響をもたらしたことによって、135年かかる、つまり、一世代分を喪失してしまったとして、その解決のために、以下の2点を強調している。

1)全体に、教育や医療へのアクセスについては平等に近づいたものの、女性は同じ機会を得られずにいるだけでなく、経済的なハードルや政治参加の低下、職場にとどまることの難しさに直面している。
2)介護分野への投資、平等な雇用慣行、スキルアップを重視した戦略や政策が求められる。



■国際社会から取り残される日本の背景には・・・
政治分野は147位(前年144位)、経済分野は117位(前年115位)、教育分野は92位(前年91位)、そして、健康分野でさえ65位(前年40位)と、いずれも低下している。他の国が、どんどん男女格差を縮小しているのに、日本格差を広げているのは、先の森喜朗氏発言問題でも露呈したように、男性優位、男性の意見が正しいという根強い文化、アンコンシャスバイアスが根強く残っていることも一因である。



■分野別の前年比較では…

【政治分野】女性議員比率では前年と比較し世界平均は 0.298→0.312 とアップしているのに、日本は 0.112→0.110、順位は135位→140位と下げている。 ワースト10で、日本より下位の国は、カタール、ナイジェリア、オマーン、イラン、ブルネイ、クウェート、イエメン、パプアニューギニア、バヌアツとなっている。 この数字に反映される日本の衆議院議員の女性議員が低比率にとどまっている間に、他の国はクオータ制採用などにより女性議員を増やしていることに注目。

【経済分野】賃金格差でみると、世界平均は 0.613→0.628 と改善しているのに、日本は 0.672 (67位)→0.651 (83位)と格差が広がり、順位を下げている。 賃金格差はそのまま年金格差にそして所得格差につながっていく。

【教育分野】高等教育の指数は変わらないが、順位を下げており、これは 女性の高等教育への進学率が日本を上回る国が増えているということで、日本での女性の大学進学率を増やすことの必要性を示している。

【健康分野】一つの要素である出生時性比率では格差はないが、もう一つの健康寿命では、日本は実数で男性は 昨年と同じで、女性は 1.4年短縮し、格差は 1.06→1.04 と近づいたが、順位、指数ともに下降した。女性の健康寿命について対応を検討することが課題となる。



GGGI 2019 ~日本の男女格差は153か国中121位と過去最低に~

2019年の日本の男女格差は121位/153か国と、2018年の110位/149か国よりさらに順位を落とし過去最低となった。 特に、政治分野は144位のワースト10と最悪の結果に。






■GGGI 2019 BPW分析

・データ編
2019年日本の男女格差は 153か国中121位と過去最低に(281KB/PDFファイル)


・理事長コメント
「政治分野での日本のジェンダー平等度は、世界153か国中144位」(463KB/PDFファイル)

・BPWブックレットシリーズ #5(3.31MB/PDFファイル)

・GGGI 2019 パネルトーク資料
・経済(1.17MB/PDFファイル)
・政治(3.94MB/PDFファイル)
・教育(1.85MB/PDFファイル)
・健康(1.64MB/PDFファイル)

・基調報告資料
「企業での男女格差の是正の実践報告」(4.22MB/PDFファイル)


GGGIパネルトーク&ディスカッションご案内 《終了》

男女格差解消を目指して -GGGI 121位からの脱却の方策を考える-

日 時:2020年2月29日(土)13:00~16:30
会 場:名古屋市千種区今池1-8-8 今池ガスビル 《アクセス》
基調報告:「企業での男女格差の是正の実践報告」
パネルトーク:
GGGIデータを基に「政治・経済・教育・健康」4分野の専門家を交え、格差解消のた男女格差解消のため日本の課題を読み解き、SDGs の実現に向け、具体的な取り組み、行動を考える

過去の各種資料

■GGGI 2018 BPW分析 2018GGGI<抜粋>(600KB/PDFファイル)

■GGGIパネルトーク&ディスカッション(2018.3.30)資料より
 ・2019イベントご案内(411KB/PDFファイル)
 ・2018政治分野(3MB/PDFファイル)
 ・2018経済分野(911KB/PDFファイル)
 ・2018教育分野(1.9MB/PDFファイル)
 ・2018健康分野(1MB/PDFファイル)

■BPWブックレット#3
 The Global Gender Gap Report 2018(1.4MB/PDFファイル)

◎2017GGGI速報(1.19MB/PDFファイル)

GGGIパネルトーク&ディスカッション資料より
◎2017GGGI概要(448KB/PDFファイル)

分野別資料
 ・2017 政治(420KB/PDFファイル)
 ・2017 経済(1.55MB/PDFファイル)
 ・2017 教育(1.9KB/PDFファイル)
 ・2017 健康(1.18MB/PDFファイル)


◆2017年2月
男女格差の解消を目指して Part4 衝撃の111位!! 何とかしたいと思いませんか?

2016年の日本の男女格差指数(GGGI)は111位 、2015年の101位からさらに後退しました。
開催日時:2017年2月25日(土)13:30~16:30
会場:婦選会館多目的ホール(渋谷区代々木)

◎『2016年速報』(776KB/PDFファイル)

◆2015年2月
"『まだ104!?』 ~女性が輝く時代??104位はまずいでしょ~"

2014年の日本のジェンダーギャップ指数は、0.685.つまり政治・経済・教育・健康の各分野を総合して、日本女性は男性が手にしているものの68.5%しか得ていないのである。(ちなみに世界1位のアイスランドは85.9%)
どうすればこの142か国中104位という不名誉な最下位グループからの脱出が可能か。女性だけではなく、男性たちも日本に見られるこのような格差の解消に力を貸してほしいとの願いを込めてこの提言をまとめた。

◎『2015年2月提言・報告書』(921KB/PDFファイル)

◆2015年11月7日
男女格差の解消を目指して Part 3「今年は 〇位!?」開催

例年10月にデータが公表されるところが、今年はイベント後の11月18日公表となったため、当日は各分野の専門家による日本の現状報告とジェンダーギャップ解消に向けた意見交換を実施。

◎『GGGI 2015 速報』・2015/11/18(671KB/PDFファイル)

◆2014年9月
ジェンダーギャップを解消するために「105位からの挑戦」

2013年の日本のジェンダーギャップ指数(GGGI)が136か国中105位(2013年)の現状をふまえ、外務省シャインウィークスサイドイベントして開催。

◎『2014年の提言・報告書』はこちらから

(2019/12/27更新)