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JWLIフェローからの報告
2010年フェロー・プログラムに参加されたC.S.さんからいただいた、プログラムの概要と報告です。
レポート: C.S.さん (国際協力NPO勤務) 〔2010年/第4期生〕
【はじめに】
今回このJWLIプログラムに参加し、米国でのNPOの理念や運営、ファンドレイジングなど、また女性のリーダーについて学ぶ機会を頂きました。今回の研修によって得られたものは、知識はもちろんのこと、それ以上に、そこで働く人々のパッション、多様な考え方、働く上での姿勢などに、より多くのものを頂いたように思います。それらは決して本や参考書だけでは得られない、正に実際に自分が接し、体験することでしか得られない経験であったと思います。今回、このような貴重な経験を得られたことは、今後の私の人生において、大きな宝物になると同時に、スタート地点になると考えています。
【Web of Benefit】
最初に訪れたWeb of Benefitでは、まず「夢」を持つことの大切さを教わりました。今回のプログラムを参加するに当たり、私たちは事前に「Dream Proposal」を書くことを求められました。自分の夢について改めて考え、文字に落としていくという作業を行ったことがなかったため、最初は戸惑いの方が大きかったことを覚えています。「夢」の前に、「現実」を考えてしまっていたからです。しかし、Web of BenefitのJohanna Crawford氏に、「大きすぎる夢というものはない」という言葉に励まされ、自分のやりたいこと、自分が目指したいことを自由に考えることが出来たと思います。その上で、自分の可能性が広がる気がしました。
【Ellis Memorial】
Ellis Memorialで印象的だったことのひとつは、他のNPOとの連携を行い、例えばホームレスの人々の職業復帰のための訓練として作っているサンドイッチを、Ellisの施設のランチとしてオーダーするなどの有機的な連携の試みです。これは今後の非営利組織として非常に重要であると感じました。また、ファンドレイジングを行う際にも、企画書のテンプレートを上手く利用しているなど、ファンドレイジングを行う上で参考にさせて頂く要素を学びました。
しかし、それ以上にEllis MemorialのLeo Delaney氏が、組織のスタッフを含め、どのように人と接しているかということに学ばされました。彼は組織運営のために色々な策を行っているとは思いますが、それ以上に彼の周りの人々に対するケアや心配りが、ドナーやスタッフから信頼を得ているのではないかと思いました。こうした人間としての信頼関係やカリスマ性は、どのような仕事についていようとも重要なものですが、NPOに対し出資(寄付)をする人というのは、単にお金を出し、金銭的な見返りを求めているのではなく、どれだけそのお金が「生かされたか」、またそのNPOのスタッフや被益者との心の交流なども求めている人が多いように思います。戦略やビジネスライクな態度だけではなく、どれだけ効果を出し、心も通わせることが出来るかということも、NPOとして必要となってくる要素なのではないかと考えさせられました。
【シモンズ大学 Strategic Leadership for Women】
シモンズ大学でのSLWの講義では、リーダーシップとはどういうことか、また女性がリーダーシップを取っていくことの難しさや意味、またどのようなリーダーシップを取っていくべきかということを、米国の各地から集まった営利・非営利の女性たちと共に学びました。その中で非常に大切だったことは、まず自分を知るということです。自分と言う存在は、一番身近なようでいて、見えていないことが多くあります。自分を知った上で、戦略を使ってリーダーシップを取っていくことの大切さを学びました。
【ATASK (Asian Task Force Against Domestic Violence)】
ATASKを訪問した中で、最も印象に残っているのは、ATASKの事務局長であるリンダの経営に関する戦略的な手法です。彼女はドメスティック・バイオレンスの支援などに関する活動の部分に関してはスタッフに基本的に任せており、彼女自身はATASKという組織の経営をどのようにしていくかということを念頭に動いています。
非営利組織とは言え、基本的にお金がなければ、そして組織を動かしていく経営方針や理念がなければ、組織として成り立ちません。彼女はそのことを良く理解していて、おそらく経営の立て直しの方に専念をしているように見受けられました。非営利組織を運営していくにあたって、その活動に対するパッションはもちろんスタッフの働くモチベーションにもなる根幹的な部分ではありますが、今後はもっと多くのNPOの中にマクロ的なビジョンで経営をすることができる、例えば元々ビジネス界にいた人材などを取り入れる動きがあっても良いのではないかと思います。
【最後に】
アメリカでは、10人中9人が、自分の資金を何らかの社会貢献に寄付をしているそうです。日本より遥かに優れた寄付に対する免税の優遇措置の違いなどはありますが、人々の中にある「寄付」や「社会貢献」に対する根本的な考え方が、全く異なるものであることを、改めて認識せざるを得ませんでした。しかしだからと言って、私たちが日本で社会貢献を諦めるべきではなく、どういう方法であれば日本で受け入れられるのかということを、改めて考えなくてはならないと思わされました。
また、正直これまでは全く意識したことはありませんでしたが、今後自分が「リーダーシップ」を取っていくことの意味を改めて考えさせられました。「リーダーシップ」にも様々な形があり、どれが良いということはありません。自分にとって一番心地の良いリーダーシップの在り方というものを、今後も継続して模索していければと思います。
最後に、このプログラムを最初に構想して下さったフィッシュ厚子さんを始めとし、フィッシュ財団、シモンズカレッジ、そして3つのホストサイト、そして数々の場所で私たちの訪問を受け入れてくださった組織の皆様に、このような貴重な学びの機会を頂けたことを深く感謝致します。
報告書
日本女性指導者育成支援事業 2011年度報告書 (PDFファイル/1.6M)
日本女性指導者育成支援事業 2010年度報告書 (PDFファイル/1.8M)
※今後も、ご本人のご承諾がいただけた方のレポートを、随時追加していく予定です。
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