GGGI

ジェンダーギャップ指数(GGGI)改善に向けて

日本BPW連合会は、ジェンダーギャップ改善に向け、世界経済フォーラムが2006年以降毎年公表しているジェンダーギャップ指数(GGGI)に注目し、2014年より関連イベントを実施すると共に、その議論から提言をまとめて関係方面に提出している。


ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index =GGGI)とは

男女格差の度合いを示す指数で、この数値を公表している世界経済フォーラム(WEF:本部をダボスに置くNGO)は、男女格差の無い社会がより社会を発展させるとの認識から、男女格差(ジェンダーギャップ)の解消を目指して、(1)男女格差を測定する指標を設定し、(2)それぞれの格差示す数値を出してこれを基に、(3)国別に順位をつける方式を開発した。2006年以降、「ジェンダーギャップ指数(Global Gender Gap Index = GGGI)」として毎年その数値を公表してきた。

男女格差の指数(ジェンダーギャップ指数 GGGI)は、基本的には「女性÷男性」で計算され、男女の格差が無くなれば指数(スコア)は「1.000」に,格差が大きければ「0.000」に近づく。男女の格差を測定するために、政治・経済・教育・健康の4つの分野を設定し、それをさらに分野毎に、2次指標(sub-index)を設定している。政治は3、経済は5、教育は4、そして健康は2と合計14項目ある。その各々について、女性÷男性で指数を出し、その総合指数(スコア)をまとめて国の指数となる。


2022年男女格差指数 (GGGI)速報

116位/146か国 と最低クラス
特に政治分野は139位で 前年ワースト10⇒ワースト8 とさらに低下

2022年7月13日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した、ジェンダーギャップ指数(The Global Gender Gap Index= GGGI)で日本の男女格差は146か国中116位と相変わらず下位レベルのままとなった。教育・健康の2分野で指数・順位が改善したが、政治・経済分野の男女格差は、WEFも特筆しているように非常に深刻であり、この格差の改善には異次元のスピードでの取り組みが必須である。


経済分野は指数・順位共に下がり、政治分野は146カ国でみるとさらに順位を下げワースト8となった。また総合の指数は、東アジア・太平洋地域で最下位となった。
[参考資料] Global Gender Gap Report 2022 (INSITE REPORT -WEF-)



■世界全体では…
上右の表が、今回のGGGI上位10か国である。ギャップ指数は、すべて0.8以上で、13年間続けて1位はアイスランドである。新型コロナウィルス感染拡大に対して、迅速で、国民に寄り添う的確な呼びかけにより、そのリーダーシップが注目された女性元首の国々5か国(青の*印)が含まれている。
世界全体で、男女間格差の解消に要する歳月予測について、昨年は COVID-19感染症拡大により、世界的に女性のほうが失業などより大きな影響を受けたために、ジェンダーギャップ解消には135年かかり、その前年の99.5年から一世代分を喪失してしまったとしたが、今回も、このままの進捗状況では、その解消に132年かかると指摘し、各国に取組みの加速を求めている。前年より1%以上改善した国は、わずかに30ヶ国に過ぎなかったのである。

■国際社会から取り残されたままの日本・・・
今回は、各分野の順位より指数に注目すべきであろう。教育分野は1位(前年92位)と改善しているように見えるが、これまでその順位を下げていた高等教育期間における在籍者の男女比率のデータが加味されていない。
政治分野は139位(前年147位)と順位は上がってみえるが、男女格差指数は全く同じで、ワースト8である。同じく問題の経済分野121位(前年117位)、他の国が、男女格差の解消について効果的な取り組みを進めて結果を出しているのに対し、日本がコロナ禍の女性たちの課題などに深刻さを欠いたままだったからであろう。



■分野別の前年比較では…

【政治分野】
世界平均を前年と比較すると、女性議員比率は0.312⇒0.229、女性閣僚比率は0.235⇒0.161と低下している。日本は2021年衆議院選挙で女性議員数が減り、女性議員比率が下がったものの、順位が上がったのは、対象国が前年より減っているからに過ぎない。ワースト8で、日本より下位の国は、オマーン、ナイジェリア、イラン、カタール、ブルネイ、クウェート、バヌアツである。この数字に反映される女性議員(下院)比率の低下は次回の衆議院選挙予定の2024年秋まで続くことになり、すでにクオータ制導入などで比率を上げている国々に抜かれている状況に対抗して、指数の改善を図るには、女性が総理大臣になるか、より多くの女性閣僚を任命するしかない。

【経済分野】
労働力比率でみると、世界平均は0.655⇒0.629と悪化しており、COVID-19感染拡大は女性により大きな影響をもたらしている。賃金格差も日本は0.651⇒0.642と男女格差が拡大している。今回の時点で所得格差は前年より縮小しているが、賃金格差の影響は数年を経過して反映されるので、気をゆるせない。昭和の時代のままの税制・年金制度を続けると、この指数の継続的低迷が予感される。

【教育分野】
指数が1.0、順位も1位で、2021年度から改善したように見えるが、これは日本の高等教育における男女格差のデータが今年は反映されていないからと判断できる。したがって、この結果を喜んで受け入れるわけにはいかない。(WEFは教育分野について、UNESCOのデータを元に分析している)
なお、OECDの報告では日本のSTEM分野に進学する女子大学生比率はOECD諸国において最下位であり、日本の高等教育における男女格差が、将来、経済分野に悪影響を与えることが懸念されている。

【健康分野】
2つの要素のうち、出生時性比率は格差なく、もう一つの健康寿命は、日本は指数で1.040⇒1.039と近づき、順位も改善した。(この項目だけが、女性が男性より高く1.0以上である。)ただし、女性の健康寿命の質については、まだまだ、検討の余地がある。また、「性と生殖に関する健康と権利」や性暴力対策も課題である。



プリントアウト用資料はこちら(406KB/PDF)

日本BPW連合会は、男女格差解消を目指し、GGGIデータを基にイベント開催・ブックレットを発行しており、今年も継続予定である。

過去の各種資料

■「GGGI 2021」他、GGGI関連の過去の資料についてはこちらをご覧ください。

(2022/7/18掲出)